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 一世紀も経たない間の話だ。
まあ、種は気の遠くなるほど昔から存在していた。まさにこの惑星における元素が物質として形を成した時、遠い先の因果が生じ得ることになった。
これらが育てた果実はゆっくりと自重を増し、その瞬間を待っていた。
新たな種をまくために弾けるか、自重に耐えかねて地に腐った身をぶちまけるか。結末は同じとしても、ただ淡々と待っていた。
 長い時間は、殆どが私が生まれる前の話さ。
私はこれだけ訳知りの顔をして語っても、実際にそれらを目で見て知らぬ。つまり、当事者ではとてもなくて、勉学よる聞きかじりの身だけれどもね。
尤も、それらの実が落ちたピークが"それ"であり、すべての時間は一八世紀の産業革命をきっかけとして由来する。
正確にはきっかけのためのきっかけに過ぎない。これが発展を始めるためのターニングポイントだったという話だよ。
後に科学技術をはじめとする、それこそ多くの産業が飛躍的に伸びたあの出来事さ。歴史の授業で習うだろう?
少なくとも形式上の授業でなくたって、電子版に与えられる教育カリキュラムで受けたはずだ。
 一部の――それでも当時はこの世の多くを占めていた謎たちは謎かけを辞めて常識へと姿を変え、魔女の用いる怪しげな技術は民間の信仰や療法から抽出された一滴として素晴らしい知識と経験の賜物だった、ということになった。すべて燃えた後だがね。
全ては『科学的根拠がないから』。
 断頭台は血の味を忘れ、大地は流れた血のたくさんを知りながらも呼吸を辞めず、そこに住まう種の一部はついていけないことを淘汰として絶滅を受け入れるしかない世界たちだ。
今日までの足跡を我々は生きている。
肩書きをこの惑星の支配者としてでは飽き足らず神を騙り、無知の恐怖を消したいだけに探求を正当化してね。

 大仰に語れば、人間は実に強欲だな。
事実としても、私たちは本当に存在したはずの生物の一部は画面上でしか知らないしね。
力の誇示も征服も、誰かに尽くしたいという献身を上辺に育つ下心も、すべて本能に基づく愚かな行動の活力だ。
自らが生きる術を強かに模索する様が、私は自分もあたりまえに当てはまると知りながらも嫌いなんだよな。
だが、どうしたことか、"そういうふうにできている"。抗いようもなく、そうなんだ。
言語を操るだけあって煩雑と化してはいるが、それを本能という。
悲しき性質(さが)の錯覚が愛だって、人類は考える。ある意味では欠陥したそれらを愛という錯覚で補おうとするんだ。
うん? 『それが常識ならば知っている。主観より客観の現実的な話がしたい』?
そうだろうな、悪かったよ。
 つい偉そうな主観の語りをするが、私も"有難い話"は好ましくないのだった。歳かなあ。
昔はそう偉そうにして陶酔していると私も思わなかったわけでもないが、どうも説教臭くなる。
全く以てして老いと劣化は人類の大敵である。
記憶は美化をするばかりだ。
……それでは、もっと近くの話をしようか。今の生活にまつわる様々の話だぜ。
ほら、メモを用意しなくってもいいのかい?
ああ、構わないよ。ペンは私のものを貸そう。
大層に大事にしてくれよ。気に入っているんだ、その万年筆。

 そう。君は、発条仕掛けの鳩を見て『なぜ電子メッセージでやり取りをしないのだ』だの『モーターの音まで極めて静音をしているのに、動きの再現の低さはやっぱり不思議だ』だのと言っただろう。
『不気味の谷』という言葉を知っているだろうか。
うむ、いかにも。機械や造形物における外観や動作の再現率が人間の姿に似ていく過程で生じる強い否定の感情、違和感などその心理現象の名称だ。もしくはそれら感情群の総称。
 簡単に言えば人間と機械、その組み合わせに共通点を見出せず、全く以て異なる印象を上手く認知できず脳が混乱すると言われている。
従来の冷たいイメージと人間が概念としての認識の上で同調をしない。
それの延長として技術が発展するにつれて現在の理論の主流は優れたスキンなどの技術によって、最初こそ人間と認識する。しかし、人間らしさの生を見出せなくなった瞬間から機械と認識するとその落差に強い拒否を示すのではないかということになっている。
 不快の落ち込みは谷というように一時的には強く拒否に落ち込むが、それ以降も発展を続けて脳すら判断を見紛う頃には、一転してより強い親しみの感情に変わる。
落ち込んだ先で這い上がらないならば、名称は精々のところ"崖"にでもなってたぜ。
 閑話休題。脳が記号としてを事象を捉える際に、谷を越えた先では人類によく似すぎた機械に対して、人間を見た際と同一の演算をするのではないだろうか、と語る者も居る。それは恐らく事実であるが、実現にはかなわなかった。
人類はそれの結果を待たずとして恐れ、放棄をし、遠ざかったからね。それらは一部の検証結果予測に過ぎない。
今や技術開発の一部に禁忌条文に追記がされているんだ。
 発端の一部を担う事象――機械技術の第四次高度成長期は、クローン技術の黎明期と一時の時間を重複したことにあった。
単純な技術力の向上、素材開発によるスキン再現技術の更なる躍進的発展。これは医療にも多大な貢献をしたが、して、終いに電子アーカイブ化とクローン技術の技術合成産の生物という"キマイラ"もしくは"キメラ合成生物"……魂の模倣、そして人権の冒涜が頭角を現した。
 目を瞠る技術たち、それを利用した仮初の永遠を夢見る浅ましい者、金儲けの道具にしたがる卑しい者。
そしてクローン技術が発展するために必要とした"犠牲と副産物"。
法の抜け穴を上手く潜り抜けた夥しい悪意の数々。
果てに人類の心根に張った思想は、華々しく新たなる世界をチラつかせる幕への期待でも、金儲けや悪意によって浮き彫りにもなった人間の持つ薄汚さへの嫌悪でもない。
間違いなく、自らが生み出した技術が人類にとって替わることを恐れる血なまぐさい疑心暗鬼だ。
 先の通り、不変……つまり永遠を夢みる野心家は魂の移植をよく願った。
肉体さえ脱皮のように乗り換えることができれば永遠を生きることができるという理論に息を巻き、魂自体の劣化を避けることはできないことからは目を逸らし続けた。
長い時間を不変に生きることはできない。
それをどこかで知りながらも、人生の絶頂期を永遠という時間に固定して傲慢を傲慢のまま振りかざしたがるのさ。
記憶を維持して新鮮な脳を手に入れても、思想や感情のロジカルを永遠に維持することはできない。時間に固定をする永遠はただの停滞だ。
人間は社会の交わりに臨む限り、簡単に他に振り回されるから。
 うん? ああ、気遣いありがとう。私は大丈夫だよ。
馬鹿々々しいと思いながら続けたことだ。もはや最後まで抱えるべく業さ。
君と私に分かりやすく言って"不滅の魂"は、永遠でも生命でもなかった。
もはやその概念すらを失ってね。
わからないんだよ、私は――……。
いいや、なんでもない。今更の問答に、当時の君の答えは知ることはできないしね。
少なくとも私とのふたりきりの生活ではね、君のこころは君のためだけに使いなさい。
……言ったそばから君というやつは。だから、ドライフルーツを寄越されても糖分過多だと言っているだろう。どれだけの砂糖が降り掛かっていると思っているんだ?
 構わないよ。同情を売っているわけではない。
君が私に気遣いをしたいとすれば、それは君が私に何かをするのではなく、ただ寝食をして、時に笑ったり印象に残ったりするようなことを一つでも思い出せればいいんだ。
無理をして、苦しんでまでしなければやり過ごすこともできない日常ではないならば、何も言うまいよ。
 いちいち湿っぽくさせないでくれ。
今の歴史は私が一部において当事者なのは仕方あるまいのだ。避けようもない。
思い出しもするさ。だが、淡々と続けたいんだ。喋らせてくれよ。
いいかい、次だ。
 ……しかし、永遠の生命というこれは野心家の根底に強く深く属しては、折り重なる数々の思想が生まれ、時にぶつかり合う思想は第三勢力を生み出したのだ。
圧倒的な技術と情報たちは人々を多く惑わせ、デモや争いのきっかけを作ってしまった。
人類が技術を放棄する前の話だ。
簡単に言えば、そのように時代の最も暗い瞬間が、今世紀の始まりであった。

 正確にはより長く歴史を語る必要があるがーーまあ、平たく言うなれば人間の形でありながらヒトではない数々、感情を学び構成されながらも他の感情の干渉を受けない機械の思考、故の惨忍を想定するいつか起こり得る謀反に対して極度の怯えを見せた。それが長い歴史で最も新しい諍いの記録だ。
害が一等先に、親であるはずの自分たちに向かうことをなにより忌み嫌ったのさ。
生み出したものに抱く情という温かみへ目が向くより早く、模造品である機械やAIを含む電脳空間などで実体をもたないものたち、なによりクローンという模倣の人造生命体が人類を支配することを恐れた。
境目のない機械が人に成り替わることや軋轢がいずれ生まれることを鮮明に想像することは想像を膨らませることに悩む必要もなく、困難とするほうが笑われるにおかしくないほど優れた技術たちだった。
 人間の形でありながらヒトではないものらに侵される恐怖は、この惑星を支配する肩書きに溺れる傲慢の対極だ。
全てには物事の面というものがあり、つまり、人類は進んだ機械技術の利便性よりも人間の形をしたヒトではないものに脅かされるという妄執に取り憑かれる方を選び取った。無意識に選び取ってしまった。
敵が人間の形をしながらもヒトではないものらだからこそ、正当の盾と人類の一致団結、有生性の至上主義を掲げた剣を大義名分に振るって道を作ってきた。
時に道程を歪め、道なきを道として新たに拓いても、技術を棄てる決断を下す日までは引き返すことはしたがらなかった。
 ヒエラルキーの圧倒的な頂点を揺るがすシード権が許せなかったのさ。
故に自ら作り上げた生命を、未来を何度も何度も崩して、終末の神話体系をつくりあげてきた。
これらの一部思想は現在にも及び、我々の人生にも多少関わりがあるが、本当にひどい世界だった。
 実際のところはひどい争いというよりは牽制が続き、長らくの緊張や水面下の争いはあったものの最終的に人類は妄執という見えない敵を前に手を取り合った。
手を取り合い、紆余曲折の末に、疲弊にまみれた人類は二◯世紀目前の生活を再開することにした。
そう、ついに道を引き返すことにしたのさ。
――技術の発展を棄て、すべての者の欲に根差した目を眠らせることで、これらは平和を取り戻した。
技術が失われるためには未だ経過した時間が浅いがね。
この世界は今はただ逃避かのように、現在も長い冬のようなこころを続けている。それでも停滞は緩やかに流れ出し、余波はまだ多くあるが、厳しすぎる冬の嵐は過ぎたのがこの現代だ。
 地に足を着いて現在見ることのできる光景の数々は一九世紀後半の景観にファンタジー・フィクションというスパイスで結構な味付けをしているような感性があってね。
ああ、嫌いじゃあない。悪くない景色さ。
静かでね。結構好きだぜ、私は。
今では都合の良い技術を都合よく保持できる二〇世紀目前に移行しながらの景観をより良いとしながら、懐古主義が我々のような服を着ていている。君にはわからぬ例えだろうが、かつての文化の保存施設やテーマパークを兼ねて存在していた映画スタジオのセッティングがなされた村に似たものの景色が延々と広がり、それを普遍とする世の中だよ。
アンティークに寄った古めかしさを最も美しいもののひとつとしてリスペクトした景観に帰結し、よもや懐古は懐古でない。
その中で旧時代的前衛主義とされるスタイリッシュだの前衛主義を取り入れたミニマルの亜種だの、新素材製・または類するデザインの衣類を好む若者の姿があればそれはもう、街中で旧時代に想像した宇宙人が歩いているような混沌ものだぜ。
古めかしいフォーマルや襟付きの重ね着がベーシックの世界で、新素材製のカジュアルはオーロラを纏った未来人そのものみたいだ。
熱狂的な愛好家も多いが、それを常用するとなればまた篩にかけられるもので少数派だな。
 服装には法で定められた規則なんて当然に存在しないし、スマートフォンやそれより進化した端末はみなが握りしめているからね。
都合の良い技術利用だろう?
まあまあに切り離せない癒着さ。
実に独善的に正しいことだ。素晴らしい流行だよ。
理にかなったようでいて、今の世界の在り方を全否定するアンチテーゼさ。
もっと言えば、現在は外部接続式ではあるがレンズ型のデバイスも流行りだしていたかな。
どちらにせよ、まだ脳と感覚器官には国際法によってダイレクトアクセスができないことになっていて……ええと、要はかっりちと型抜きされたされたような、いかにもな紳士がイヤホンをシャカシャカ鳴らしているのが当然なんだよ。この現代は。そんな世界だ。
車も角ばったマニュアル車ばかりが流行っていて、丸い車は軒並み"旧デザイン"だと語るくらいにね。
 ちぐはぐで、だからこそ生き易かったり、息苦しかったりする。存外にバランスをとって共存して見せるものだよな。
度々に箱庭のおもちゃ遊びとする否定派もいるが、これほど生を実感する世界もなかなかない。
おもちゃ遊びなんて厭わなくても、この世界に生きている人間は確かに人間なんだよ。
それ以上でもそれ以下でもない。
どうしたってこの世界の根底を疑えとは誰も言えないし、正しさの問答なんてこの規模ではただのパラレルワールドで夢見る"たられば"さ。
君が世界に辟易する日が来ても、生きている限りはなんとなくやり過ごすだけだ。
立ち位置が変わらなくて絶望するだけならば、最終的な選択肢は生か死のみじゃないか。
君だって、そう思うだろう?

 しかし、一〇〇年の区切りもまま近づいてきたこの現代は、かつての機械や科学の発展を恐れた人々の戦いは既に過去のものと語る者が現れた。
多くの人間は目を閉じることにした。だが、冬から少しばかり早く目覚めようとしている者も居るということさ。
倫理の檻――すなわち『人間を極度に恐怖や拒絶の感情で満たす心理現象を起こす事象や課題の数々から目を逸らすこと』に疑問を呈すものが再び現れ始めているんだ。
かつての反対派、つまり"檻"を揺らす者たちも賢さを覚え、隠密ができるようになった。
まあ、私も研究の一端に与していたという面では当事者であるが……。
ただ、研究は錆び付いて再び低迷をしているし、研究や機械開発は大々的に語ることはできないということもあり、いまの話のうち、我々の常識は我々にとって常識であっても、三分の一ほどの秘匿は"一般人に行き渡った常識"でない。
 色葉――管理ナンバー一六八・タイプニュートラル。正確な通称はイチロクハチであるが、その名の響きと等しく読みを"イロハ"と愛されたヒトクローンの成体は、長らく乱高下を繰り返し安定しないクローン技術の中でも最高峰の成果だ。それだけは間違いない。最も優れている。
我々が息をする限り、私がこの身を以てして君に証明を続けよう。

 ……さて。最後に、少し未来の話をしよう。
 今は世間知らずではあるが、無意識の領域に残されているかつて蓄積された君の常識は、いざという瞬間で直面する事象に白黒をつける際に今の君、つまり"色葉"を疑わないだろう。
しかし、外に出て他と交流をする機会があるならば、知っていることでもなるべく世間に対して無知を貫きなさい。私はそれが最善の選択だと思うよ。
先の歴史を経て最も凝縮された強い疑心暗鬼を植え付けられた世代がまだ生きているから、家がその方針であったと語れば大衆の多くは無知な君には優しくするだろう。
それでも君の心を傷付ける酷い奴があって、君が一瞬でも死を過ぎるほど辛いとする。
こう言って君が君の心を蔑ろにしてまで円滑に人と関わって生きる必要はない。
その時は私が個別にてどうにかしてやろう。
 うん? なに、気にすることない。
私がそうしてやりたいのさ。
してやれることなどそれくらいしかないし、君に死を過らせるほど酷い奴なのに君が見切りをつけられないならそれはただのタチ悪い繋がりだ。
互いに見た目ばかり若くはなく似通った外見の年齢であるが、精神的な関係を見て君を未成年のようだとすれば、私は必然として保護者だろう?
基本的に交友関係に口出しはしないが、致命的に将来の君を傷つける予定が立つなれば外側から圧をかける。そして疑うことを示してやる。
しかしまだ気付けずならば、ついに保護者の権限だ。
 君の生きる道に私は自由を許可する。したいし、しなくてはならない。
そもそも本来縛られる謂れはないが、今話しているのは過保護としての範疇を語る例えだ。
――して、だからこそ、最初から進行許可の色が赤であると悪意にまみれた嘘を語るやつがいれば、明らかな不安の芽は摘んでやるのがその努めというものであるまでさ。
 君をまだ簡単に外へ出してやれる状況ではないが、少なくとも君はそれを心強さのアテにしていいんだ。たくさん失敗をするといい。
先の発言の通り、他がどうしようもなく君を苦しめるなら、私が"どうにかしてやる"ことができることを覚えておきなさい。
それから、もう一つ。これを信じて頼りにしてくれるならば約束をしてほしい。
 外部から圧をかけるというカードがあっても、君は驕ることなく今の話を頭の隅に置いて過ごすんだ。これだけ頼むよ。
保護者の権限が保護者という第三者の主観で働いて排斥をしないように君は務めるんだ。
互いに緊張を持ち、尊重をしあうのが交流に於いて理想であるからね。
人間が"可哀想な君"に対して親切をするんだ、意味がわかるだろ?
それらはある程度に見込めても当然ではない。
今の君に感情が難しいならば下心が少々を占めてあってもいいから、君も人間に優しくなりなさい。
大丈夫さ、狡くなんかない。
人間が無知を演じる君を可哀想だとして優しくするならばそれも一種の下心だ。
露骨に伝わって嫌悪されるのでなければ、今はそれでいい。
 本や電子データのノウハウは、時を選ばず君に知識という恩恵を与える。
しかし、いざという際を常に想定して、私が庇護してやれるうちに生き方を学びなさい。
 わかってる。ああ、わかっているよ。
もしもの話じゃないか。絶対はないって言っているだろ。
それも絶対ではない、だと?
なんなんだ、君のそのこだわりは。
もはや崩壊した問答にしかなるまいよ。
話を戻させてくれ。長ったらしくて有難い説教はあと二、三のことで終わるのだから。
悪戯をする子供よりものわかりが良いんだろう?
損得勘定もできるとみた。ならば賢いのが何かわかるな?
ああ、文句も疑問もあとでたっぷり聞くよ。
まずはこの会話に区切りをつける。この方針で良いかい。そう、賢い子だね。
ああ、そうだよ。きっと君がチーズをかじっている間にこの話は終わるからさ。
 最も伝えたいことを言おう。
実践課題は――ましてや人対人の問題はセオリーとしての答えがない。
なかなか軌道修正が厳しいし、ひとりにそれを始めれば延々とそれに人生を費やすことになる。
もしそれで君が苦悩しても、私が傍に居よう。
そのためにここまで来ている。
このようにして逃げ続けてやっと生きる私でも、君とは異なる価値による思考で共に悩むことくらいはできるはずだからさ。

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