Even if it is only a recollection of what once was..
▼
▼
今世の栄華を極めた人類は、かつて救いを求め讃えた神の座へ自らが到達したことを示そうとする傲慢に満ちている。
その罪一つ、最も愚かしい禁忌のひとつである生命の複写創造――クローン技術は長らく低迷をしていた。
人類のための秩序を創造し、人間のための秩序に則り、ヒトのための繁栄してきたからこそ、身勝手にも築いた生命の最も美しい在り方に囚われ、ついぞ立ちはだかる倫理の行き止まりで高く囲われている。
その醜さこそ生物の定義をヒトであるとたらしめていることに気付かぬまま、"倫理の檻"の中で内部分裂を起こしているのだ。
白飛びする晩夏の光を木下闇のベンチから見ていた若い男は、遠い過去を眺むるように目を伏せる。
"私"は静かにそれを聞いていた。
「瞼を閉じること、光に目を焼かれること、それでも行き場を求めて彷徨うこと。
それらは等しくすべて人間……いや、すべての生命のために与えられた祝福であるのさ」
親愛なる君へ
and I will colour you in the same way.
And take my temperature in your hands.
愛は永久不滅であり――
姿かたちを変えることはあれど本質は決して変わらない
いかなる時も君の幸福を祈っている。
この作品は近未来世界を舞台にした広義のローファンタジー作品です。
テーマの都合上で描写する内容は実在の国や思想、及び関連団体・企業に一切の関係はございません。
また、実在するそれらを貶める目的としての描写の意図ではございませんのでご了承の上でおたのしみください。